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障害者白書のあらまし

−−障害者プランの着実な推進−−

総理府

 障害者基本法(昭和四十五年法律第八四号)第九条の規定に基づいて、平成六年以来「障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告書」を国会に提出し、いわゆる「障害者白書」として公表しているものである。
 本年度の年次報告書は、十二月三日に閣議決定され、同日、国会提出の後、十二月九日(障害者の日)に刊行された。
 白書のあらましは、次のとおりである。

<第1部>二十一世紀に向けた障害者施策の新たな展開

<第1章>障害者プランの策定と障害者施策の計画的推進

(1)プラン策定の背景・経緯

 福祉三分野といわれる高齢者・児童・障害者のうち、高齢者・児童の二分野については、具体的な数値目標を掲げたプランが策定されているが、障害者の分野のみ取り残された形になり、同プランの早期策定が課題とされていた。
 このため、平成七年に、関係省庁での作業、与党福祉プロジェクトとの協議、中央障害者施策推進協議会での審議等を経て、政府の障害者施策推進本部において、「障害者プラン−−ノーマライゼーション七か年戦略−−」を策定した。

(2)プランの特色及び概要

 このプランは、平成五年三月に策定された「障害者対策に関する新長期計画」の具体化を図るための重点施策実施計画と位置づけられ、その理念・基本的考え方を引き継ぎ、また、期間も新長期計画の終期に合わせ、平成八〜十四年度までの七か年計画とした。
 このプランの特色は、第一に数値目標の設定等の施策の具体的目標も盛り込み、障害者施策の強力な推進を図ろうとする点、第二に障害者のための施策は、関係する行政分野が広範に及ぶことから、保健福祉分野にとどまらず、教育、雇用、生活環境、交通、情報通信、防犯・防災など幅広い施策分野について取りまとめている点などである。

(3)市町村障害者計画策定の促進

ア 障害者計画策定の経緯

 昭和五十七年の国連総会で「障害者に関する世界行動計画」及び加盟国にこの計画の早期実施を要請する「障害者に関する世界行動計画の実施」が採択された。
 この世界行動計画により、国家レベルの長期計画の策定が要請され、これを受けて我が国で最初の「障害者対策に関する長期計画」を策定した。
 さらに、平成五年十二月には議員立法により「障害者基本法」が成立し、障害者の定義、年次報告の国会提出、障害者計画の策定義務等が規定された。
 これにより、国には障害者基本計画策定の義務が、都道府県・市町村には障害者計画策定の義務が課せられた。

イ 市町村障害者計画策定指針の概要及び障害者計画の策定状況

 障害者基本法で規定された市町村における障害者計画の策定状況は、全国で約一割程度という状況(平成八年四月現在で三千二百四十三市町村中三百三十四市町村が策定)である。
 そのため、市町村での障害者計画策定が積極的に取り組まれるよう、その支援策として、市町村障害者計画策定指針を策定した。
 この指針では、市町村における障害者の状況・人口構成などが千差万別なことから、各市町村の実情・地域特性を踏まえること、可能なものについては具体的な数値目標を設定すること、障害者自身の意見が計画に反映されるように、計画策定の過程に障害者が参加できる手続を確保すること等を記述した。
 また、都道府県によっては、市町村障害者計画の策定を促すため、国の策定指針の都道府県版の作成や、都道府県が中心となって、福祉圏域の設定による策定の促進等を図っている。


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<第2章>精神障害者福祉の推進

(1)精神障害者及び施策の現状

 我が国における精神障害者の法律上の定義は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」により、「精神分裂病、中毒性精神病、精神薄弱、精神病質その他の精神疾患を有する者」とされている。
 さらに、精神障害者のための施策は、((まる))1 精神病院等の医療機関における医療対策、((まる))2 都道府県等に設置されている精神保健福祉センター及び保健所を核とする地域精神保健福祉対策、((まる))3 各種の社会復帰施設等を中心とする社会復帰・福祉対策の三つの柱で進められている。

(2)精神障害者施策の歩み

 我が国の精神障害者に関する法制度は、明治三十三年に制定された「精神病者監護法」にさかのぼり、その内容は監護義務者を定め、私宅監置を中心とした治安面からの要請の強いものであった。
 戦後になると、欧米の精神衛生の知識を導入し、「精神衛生法」が制定されたが、駐日米国大使の刺傷事件を契機に、保安面からの強い要請により、精神障害者の管理強化が行われ、精神病院への収容中心の時代となった。
 その後、精神障害者の処遇について、国際的な人権擁護の声が高まり、精神衛生社会生活適応施設等の整備が行われたが、精神病院における看護職員による暴行事件が発生し、国際的な非難を浴びることとなった。
 これらを踏まえ、昭和六十二年には、「精神保健法」への改正を行い、さらに、平成五年には、「精神保健法」の改正が「精神病院から社会復帰施設へ、そして社会復帰施設から地域社会へ」というテーマの下で行われた。

(3)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律への改正

ア 法律改正の背景・経緯

 身体障害者や精神薄弱者については、福祉施策を定めた法律が制定されていたが、精神障害者に対しては、保健医療対策の枠組みの中で施策が行われ、福祉施策の枠組みには含まれていなかった。
 国際障害者年等を契機に、精神障害者についても、精神疾患を有する患者であるとともに、日常生活や社会生活上の支障を有する障害者であるというとらえ方が広がり、福祉施策の必要性が認識され、平成五年には障害者基本法に、精神障害者が障害者として明確に位置づけられることになった。

イ 法律改正の概要

 精神保健福祉法への改正のポイントは、精神保健と精神障害者福祉との関係を整理し、総合的に施策の実施を図るものとすること、精神障害者に対するさらなる福祉の充実を図ることとしたこと等である。また、法律名を「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」とし、法律の目的や責務規定に「精神障害者の自立と社会参加の促進のための援助」を位置づけ、精神障害者保健福祉手帳制度を創設して、各方面の協力により各種の支援策が講じられることを促進するなど、精神障害者の社会復帰の促進及びその自立と社会参加の促進等を規定した。

ウ 今後の課題

精神障害者施策は「精神病院から社会復帰施設へ」「社会復帰施設から地域社会へ」という大きな流れのなか、今後様々な課題にこたえていくため、障害者プランの着実な推進を図っていくこととしている。


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<第2部>平成七年度を中心とした障害者施策の取組

 平成七年度に障害者のために講じた施策を、「相互の理解と交流」「社会へ向けた自立の基盤づくり」「日々の暮らしの基盤づくり」「住みよい環境の基盤づくり」の四つの視点に立ってまとめている。

<第1章>相互の理解と交流(施策を推進する上で前提となる「心の壁」の除去のための啓発広報等)

(1)障害者に対する理解を深めるための啓発広報

ア 啓発広報

 「障害者の日」「人権週間」「障害者雇用促進月間」「障害者週間」等を設定し、各種の行事を実施するとともに、「障害者の日」を中心とするテレビ、新聞等マスメディアを活用した啓発広報等を行っている。政府の「障害者の日」の記念行事としては、「障害者の日・記念の集い」を東京で開催した。

イ 福祉に関する教育

 都道府県における市民会議や福祉展の開催、児童を対象とした福祉教育等の実施のほか、平成六年度に創設した「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」において、啓発普及事業等の取組への支援を行った。
 学校教育においては、全国の小・中学校のなかから「障害児理解推進校」を指定し、障害のある子供に対する理解と認識を深めるための指導の在り方等の研究を行った。

ウ 地域住民等のボランティア活動

((まる))1 都道府県教育委員会や生涯学習推進センターを拠点に、ボランティア活動に対する支援を行ったほか、学校教育におけるボランティア活動としては、奉仕体験活動等、様々な体験活動・学習機会を与えるための実践研究として、「いきいき体験活動モデル推進事業」等を実施した。

((まる))2 平成六年度から「市区町村ボランティアセンター活動事業」として、ボランティア情報誌の発行、ボランティア活動入門講座の開催、相談、登録・あっせん等の事業を行っているほか、「都道府県・指定都市ボランティアセンター活動事業」として、学童・生徒のボランティア活動普及事業、企業やボランティアグループ等でボランティア活動を推進するリーダーやコーディネーターの養成等を実施し、地域において活動したい人がボランティア活動に参加できるような枠組みづくりに努めた。

(2)我が国の国際的地位にふさわしい国際協力

 平成七年度においては、イエメンに対する障害者のための車いす供与等二十七件の援助を行うとともに、国際協力事業団を通じての研修員や青年海外協力隊員及び専門家の派遣等を行った。その他、NGO等を通じての協力を行っており、四か国において障害者関連事業に対し補助金を交付した。
 このほか、ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)に対する支援、西アフリカのオンコセルカ症(河川盲目症)の撲滅活動に対する支援、ユネスコに対する支援などを行った。


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<第2章>社会へ向けた自立の基盤づくり

(障害者が社会的に自立するために必要な教育・育成、雇用・就業等)

(1)障害者の特性に応じた教育・育成施策

ア 障害のある子供に対する教育施策

((まる))1 障害のある子供の教育に関する新たな課題や多様な要請にこたえるため、盲・聾・養護学校高等部における職業教育及び進路指導の充実に関し、その課題や今後の方策について報告をまとめたほか、病気療養児の教育の充実等について調査研究を行った。また、平成七年度から、特殊学級設置校の学校経営についての研修を行った。

((まる))2 身体に障害のある大学入学志願者のその能力・適性等に応じた学部等への受験機会の確保への配慮を行ったほか、大学入試センターでは、点字・拡大文字による出題、筆跡を触って確認できるレーズライターによる解答、チェック解答、試験時間の延長、代筆解答などの措置を講じた。

((まる))3 国立学校施設においては、障害者がその障害の程度に応じた十分な教育が受けられるようスロープ、エレベーター、手すり、身体障害者用トイレ等の整備を行った。

((まる))4 学校教育終了後及び学校外における学習機会を提供するため、公民館、図書館等の社会教育施設にスロープ、エレベーター等の整備を行うとともに、点字図書、拡大読書機、字幕入りビデオ等の整備や、社会教育施設における学級・講座等において、障害のある人の問題に関する学習機会の提供を図った。

イ 障害児に対する育成施策

((まる))1 障害児に対する児童福祉施設での指導訓練、心身障害児通園事業(デイサービス)、ショートステイ事業、ホームヘルプサービス事業や障害児の療育について児童相談所、保健所等における相談・指導を実施した。

((まる))2 障害の重度化・重複化に対するため、心身障害児総合通園センターの整備や、心身障害児通園施設機能充実モデル事業、重症心身障害児通園モデル事業、強度行動障害特別処遇事業等を実施した。

((まる))3 障害の予防に関する研究十三課題、療育に関する研究七課題の心身障害研究を実施した。

(2)障害者の職業的自立を図るための雇用・就業施策

ア 身体障害者及び精神薄弱者の雇用状況

 民間企業のうち、身体障害者雇用率一・六%が適用される一般の民間企業(常用労働者数六十三人以上の規模の企業)における雇用者数(平成七年六月一日現在)は二十四万七千七十七人(前年二十四万五千三百四十八人)で、実雇用率は一・四五%(前年一・四四%)となっている。
 また、一・九%の雇用率が適用される公団、事業団等の特殊法人の実雇用率は一・九五%(前年一・九六%)、雇用率二・〇%が適用される国・地方公共団体の非現業的機関の雇用者数は四万一千七百三十五人(前年四万一千三百八十人)で、実雇用率は二・〇%(前年一・九八%)、同じく一・九%の雇用率が適用される現業的機関の雇用者数は六千百二十五人(前年六千百五十一人)で、実雇用率は二・二%(前年二・二%)となっている。

イ 障害者の雇用促進に関する施策

 法定雇用率未達成の企業等に対する雇用率達成指導を行い、適正実施の勧告を受けながら、これまで改善のみられなかった企業二十二社に対する特別指導を実施するとともに、大企業が集中する東京をはじめ、全国の主要都市の九公共職業安定所に設けられている「障害者雇用指導コーナー」において、雇用率達成指導、相談援助を実施した。
 また、法定雇用率を超えて身体障害者を雇用している企業に対し、調整金、報奨金を支給するとともに、障害者を雇用する事業主に対する支援措置として、作業設備の改善等に対する各種助成金の支給、雇用促進融資、税制上の優遇措置等を講じた。

ウ 障害の重度化に対応した施策

 雇用されている重度身体障害者については、雇用率制度上の特例(ダブルカウント)措置を講じているほか、第三セクター方式による重度障害者雇用企業の育成や重度障害者雇用促進プロジェクト事業、地域障害者雇用推進総合モデル事業などの雇用促進を図るための対策を講ずるとともに、一般雇用が困難な者に対する授産施設等の整備を行った。

エ 職業リハビリテーション施策

 公共職業安定所におけるきめ細かな職業相談、職業紹介や障害者職業センター等における職業リハビリテーション技術の開発及び普及、職業リハビリテーションサービスの提供等を行った。また、公共職業能力開発施設において、障害者を受け入れやすくするために、校舎の入口のスロープや手すり、トイレ等の整備を行った。

(3)障害者の生活を豊かにするスポーツ、レクリエーション及び文化活動の振興

ア スポーツの振興

((まる))1 障害者の自立と社会参加を促進し、障害者の生活を豊かにする上で、障害者が障害のない人と同じようにスポーツや文化活動を楽しむことができる機会を提供することは重要なことである。我が国の身体障害者スポーツの牽引役を担ってきた全国身体障害者スポーツ大会も第三十一回を迎え、全国から約一千三百人の選手が参加した。このほか、ジャパン・パラリンピック競技大会等が開催された。

((まる))2 グラウンド・ゴルフやインディアカ等のニュースポーツの普及等を行うスポーツ団体の法人化をはじめとする育成支援のほか、スポーツ振興基金において、スポーツ団体のスポーツ事業に対する支援を行った。

イ 長野パラリンピック冬季競技大会への対応

 冬季障害者スポーツ大会の祭典である「長野パラリンピック冬季競技大会」が、平成十年三月に開催される予定である。現在、開催のための準備を(財)長野パラリンピック冬季競技大会組織委員会が進めている。政府においても、平成七年一月十三日に、本大会に対し関係行政機関は必要な協力を行う旨の閣議了解を行った。
 また、平成七年度から(財)日本身体障害者スポーツ協会が行っている選手の育成強化のための事業に対し支援を行った。

ウ レクリエーション及び文化活動の振興

 身体障害者を対象として行われるハイキングや映画鑑賞会等のレクリエーション活動や、精神薄弱者を対象とするダンス、映画、華・茶道等の教室の開催等の支援を行った。


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<第3章>日々の暮らしの基盤づくり

(障害者が日常生活の質を確保するために必要な保健・医療、福祉等)

((まる))1 障害の予防・早期発見・早期治療等のための保健・医療施設

ア 障害の予防、早期発見及び研究

 障害の原因、予防・早期発見・治療及び療育に関する研究を実施するとともに、妊産婦に対する健康診査、先天性代謝異常等検査、乳幼児健康診査等を実施した。また、周産期集中治療管理室の整備や国立病院の新生児医療の実施、国立大学付属病院の周産母子センターの設置等を行った。
 さらに、妊産婦や新生児・未熟児等に対する障害の予防や健康の保持増進のための母親(両親)学級等による保健指導を行った。

イ 医療・リハビリテーション医療

 障害者のための医療・リハビリテーション医療の充実は、障害の軽減を図り、障害者の自立を促進するために不可欠である。このため、国立大学付属病院においてはリハビリテーション部等の整備、国立療養所では進行性筋萎縮症及び重症心身障害児の入浴治療を行った。また、身体障害を軽減もしくは除去するための更生医療及び育成医療を行った。
 さらに、歩行困難等の重度身体障害者に対するリハビリテーション器具等の利用に関する助言や各種医療制度に関する指導、補装具の給付等を行った。
 平成六年の医療保健制度の改正により、かかりつけの医師による往診や在宅人工呼吸器指導管理等、在宅医療に係る診療報酬の改善を図ったほか、訪問看護ステーションによる訪問看護事業の対象を重度障害者等に拡大した。

ウ 精神保健福祉施策

 精神病院の措置入院患者(約五千九百人)については、公費による医療費負担制度が設けられ、また、外来医療については、約三十五万人を対象として通院医療費の公費負担制度が設けられており、在宅の精神障害者の生活指導等を行う精神科デイケア事業及び精神科ナイトケア事業を実施した。
 保健所においては、精神保健福祉センターや医療機関、社会復帰施設等との連携の下に、精神保健福祉相談員による精神保健福祉相談、保健婦による訪問指導を実施したほか、精神保健福祉センターでは、精神保健福祉に関する相談指導や技術援助、心の健康づくり等の事業を実施した。

エ 専門従事者の確保

 医師に対する臨床研修や各医科大学(医学部)にリハビリテーションに関する講座、授業科目を開設するなど、リハビリテーションに関する教育の充実を図った。また、理学療法士、作業療法士等、医療関係従事者の養成・確保を図った。

(2)障害者の生活の質の向上のための福祉施策

ア 生活安定のための施策

 障害者に対する所得保障として、障害基礎年金、障害厚生(共済)年金の制度と、障害による特別の負担に着目し、その負担の軽減を図るために支給される各種手当制度がある。我が国の年金制度は、国民皆年金体制が確立され、原則としてすべての国民がいずれかの年金制度に加入することとされているので、被保険者期間中の障害については、障害基礎年金や障害厚生(共済)年金が支給されるほか、国民年金に加入する二十歳より前に発した障害についても障害基礎年金が支給されることから、原則としてすべての成人障害者が年金を受給できることとなっている。
 また、特に重度の障害者を対象とする特別障害者手当等も支給されている。
 これらの年金及び手当については、毎年物価の上昇に合わせて支給額の改訂を行う(物価スライド)ほか、少なくとも五年に一度行われる財政再計算の時に、生活水準の向上や賃金の上昇に応じて支給額の改善を行っている。

イ 福祉サービス

((まる))1 在宅サービス

 ホームヘルプサービス事業については、高齢者に対するホームヘルプサービスと一体的な運営が行われ、ホームヘルパーの数等は新ゴールドプランに基づいてその充実を図ってきたが、平成八年度以降は障害者プランに基づいて、さらに上乗せして整備することとしている。
 ショートステイ事業については、平成六年度から、障害児及び精神薄弱者の利用対象を拡大した。また、身体障害者の利用に配慮した福祉ホームの整備や、食事の準備、金銭管理等について世話人を派遣して援助するグループホームの増設を図った。
 デイサービス事業については、平成六年度から身体障害者療護施設等を併設する適当な施設のない地域においても事業が実施できるよう、単独型施設に対する加算制度を創設したほか、重度精神薄弱者を対象とする重介護型デイサービスセンターの運営を開始した。
 在宅の身体障害者の社会参加を促進するために、都道府県・指定都市が実施する「障害者の明るいくらし」促進事業や、各都道府県等が支援を行う「市町村支援事業」の拡充を図ったほか、平成七年度には、障害者の自立と社会参加に重要な「コミュニケーションの確保」や「移動支援」等について、障害者にとって最も身近な市町村が実施するための新たな事業として、「市町村障害者社会参加促進事業」を創設した。
 また、精神障害者が一定期間事業所に通い、対人能力や仕事に対する能力を養うための精神障害者社会適応訓練事業等を実施し、さらに平成七年度には地域精神保健福祉対策促進事業を創設し、地域の創意工夫に基づく活動を推進した。

((まる))2 施設サービス

 重度身体障害者の療護施設、身体障害者の授産施設及び精神薄弱者の施設の重点的な整備を図るとともに、平成六年度から、施設定員、職員配置基準等を弾力的に適用する小規模複合施設の整備を推進した。
 また、施設の持つ様々な機能を地域で生活する障害者が利用できるよう、その支援を行うための心身障害児(者)施設地域療育事業や地域療育拠点施設事業等を実施した。

((まる))3 専門職員等の養成

 社会福祉士や介護福祉士等の養成、各種リハビリテーション専門職員の養成訓練等、福祉分野における人材確保を図った。

ウ 福祉機器の研究開発・普及、産業界の取組の推進

((まる))1 研究開発の促進

 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所では、従来、リハビリテーション技術の研究を行ってきており、平成七年度においても、福祉用具の試験評価と規格化に関する基礎的研究及びコミュニケーション機器・介護者支援用機器等の研究開発を行った。
 また、通商産業省工業技術院傘下の各研究所では、平成七年度末現在、すでに三十八テーマの研究が終了し、(財)テクノエイド協会の民間事業者等が行う研究開発に対する助成は、平成六年度末までに五十テーマが終了して、平成七年度は新たに十三の研究開発テーマについて行った。

((まる))2 標準化の推進

 福祉機器の標準化(JIS化)のため、平成六年度から在宅高齢者、障害者介護機器の標準化に関する調査研究等を実施した。また、平成七年度には、「くらしとJISセンター」が建設され、標準基盤研究を実施する中核的施設として活動が開始された。

((まる))3 評価基盤の整備等

 より優れた福祉用具の普及を推進するには、福祉用具産業の振興を図ることが必要であるため、平成七年度から「福祉用具センター(仮称)」構想を軸として、福祉用具評価基盤の整備を進めている。

((まる))4 ニーズに応じた給付等

 福祉用具の公的給付として、補装具と日常生活用具の給付等を行っており、平成七年度は対象品目として、新たにモジュラー型車いすを取り入れた。
 また、(財)テクノエイド協会では、福祉用具の製造・販売企業の情報等のデータベースを構築し、社会福祉・医療事業団の保健・福祉情報サービスを通じて情報提供を行った。

エ 情報通信機器・システムの研究開発・普及等

((まる))1 障害者の利用に配慮した情報通信システム等の研究開発等

 情報通信を積極的に利活用することにより、障害者の社会活動への参加を促進し、高度な情報通信基盤を利用した豊かで自立した暮らしが可能となるようにしていくことが必要である。障害者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、国立研究機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが重要である。
 国における研究開発では、障害者を含め誰にでも使いやすい情報端末技術を開発するため、障害者・高齢者のための情報通信機器・システムに係る基礎的・汎用的な技術の開発(「手話認識・生成技術」など:平成七年度から)や、情報通信システムに関する先導的研究開発(「障害者用通信・緊急通報・位置探査システム」など:平成五年度から)を行っている。

((まる))2 調査研究、普及等

 平成七年度には「高齢者・身体障害者の社会参加支援のための情報通信の在り方に関する調査研究会」を開催し、身体障害者・高齢者の社会参加を促進するための環境整備、情報通信技術の活用などを内容とする「共生型情報社会」の実現に向けた提言がなされた。今後はその実現に向けて情報通信の利活用に関する種々の施策を推進することとしている。
 また、障害のある人が障害のない人と同様に電気通信を利用できるようにするため、その利用に配慮した電気通信システムを設置するものに対する低利の融資制度等が設けられている。これにより障害者向けの情報通信機器・システム等のより一層の普及が期待されている。


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<第4章>住みよい環境の基盤づくり

(障害者が仕事や日常の外出等を自由にできるようにするために必要なまちづくり、住宅確保、移動・交通、情報提供、防犯・防災対策等)

(1)障害者の住みよいまちづくりのための施策

ア 福祉のまちづくりの推進

((まる))1 平成六年度から従来の「住みよい福祉のまちづくり事業」を拡充し、「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」を創設し、地域社会の合意に基づいた計画的な福祉のまちづくりを推進した。

((まる))2 平成六年度から「福祉のまちづくりモデル事業」を改組、拡充し、障害者や高齢者に配慮した活動空間の形成を図り、障害者や高齢者が積極的に社会参加できるようにするために、快適かつ安全な移動を確保するための動く通路、エレベーター等の施設整備、障害者等の利用に配慮した建築物の整備、幅の広い歩道の整備等を行う「人にやさしいまちづくり事業」を実施してきた。
 また、障害者を含むすべての人々の利用に配慮した住宅・社会資本整備を推進するため、建設省所管行政の中長期的な方向、整備の目標などを総合的に取りまとめた「生活福祉空間づくり大綱」(平成六年六月二十八日)を策定している。

((まる))3 地方公共団体における福祉のまちづくりを効果的に進めるため、地域福祉推進特別対策事業等による地方単独事業に対する支援を行った。

イ 都市計画制度、都市計画事業等による取組

 平成七年度から障害者等の社会参加を促すため、市街地再開発事業に福祉空間形成型プロジェクトを創設し、一定の要件を満たして施設建築物に社会福祉施設等を導入するものに対し、通常の補助対象に補償費、共用通行部分の整備費等を加えた。

ウ 公園、水辺空間等のオープンスペースの整備

((まる))1 公園整備における配慮

 都市公園等の整備に当たっては、公園の園路の幅員と勾配の工夫、縁石の切下げ、手すりの設置、ゆったりトイレの整備等、障害者の利用に配慮した公園施設の整備を行ったほか、全国六か所の有料国立公園の身体障害者等に対する入園料金等の免除を行った。
 また、平成六年には、公園・緑化技術五箇年計画を定め、都市公園のバリアフリー化のための設計基準の策定や、身体障害者等が運動できる公園施設の開発等を行っている。

((まる))2 水辺空間の整備における配慮

 河川改修及び砂防事業等を通じて、障害者や高齢者に配慮した堤防護岸の緩傾斜化、堤防坂路及び親水広場におけるスロープ化等の河川整備等を行った。

((まる))3 港湾緑地における配慮

 高齢者や障害者等の利用に配慮して、手すりの設置や護岸の段差解消等を行うほか、利用しやすい港湾緑地の調査研究を推進した。

((まる))4 下水道施設の上部利用等の活用

 下水道施設の上部空間を、障害者にとって親しみやすい公園や下水処理水を利用したせせらぎ等として整備した。

エ 建築物の構造の改善

((まる))1 官庁施設のバリアフリー化

 これまで新営施設のうち、特に身体障害者の利用の見込まれる公共職業安定所等において、車いすの利用等に配慮して出入口、廊下、便所等に所要の措置を講じてきた。今後は、二十一世紀初頭までに窓口業務を持つ官庁施設のすべてについて、高齢者等に配慮した改修等を実施することとしている。

((まる))2 人に優しい建築物整備促進事業

 身体障害者等の利用に配慮したデパート、ホテル等の建築物の整備を促進するため、日本開発銀行等の政府系金融機関による低利融資(ハートフルビルディング整備促進事業)を行った。

((まる))3 ハートビル法の施行に伴う助成措置

 ハートビル法に基づいて、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の廊下、階段等に関する基準を定め、建築主への指導・助言を行うほか、優良な建築物(認定建築物)に対して、平成六年度からエレベーター、幅の広い廊下等の整備に対する補助制度や税制上の特例措置が設けられた。
 さらに、認定建築物に対する融資制度として、「人に優しい建築物(ハートフルビルディング)整備促進事業」が拡充された。

オ 住宅整備

((まる))1 公営住宅等への優遇措置及び障害者向け住宅の建設

 障害者及び障害者を含む世帯については、公営住宅及び公団賃貸住宅の入居者の募集・選考において倍率優遇等の措置を講ずるとともに、障害者向け公営住宅の建設に当たっては、特別の設計の実施や特別の設備の設置に対する補助を行うほか、エレベーター設置への補助(通常五階以上を三階以上)などの措置を講じた。

((まる))2 特定目的借上公共賃貸住宅制度

 平成七年度には、民間事業者等が保有する住宅を借り上げ又は買い取って障害者等に供給する特定借上・買取賃貸住宅制度を創設した。これに伴い、従来の地方公共団体、地方住宅供給公社等が借上げ等を行う方式については、この制度に統合した。

((まる))3 公共住宅における長寿社会対応仕様の標準化

 公営住宅・公団住宅においては、障害や身体機能の低下などに配慮し、障害者世帯向け公営住宅の建設を行うとともに、新たに建設するすべての公営住宅においては、長寿社会対応仕様を標準化している。なお、既存ストックの改善を行う際にも、可能な限り長寿社会対応仕様設計を行うこととした。

((まる))4 住宅の建設、購入等における融資制度

 住宅金融公庫では、障害者と同居する世帯の住宅建設・購入に対する割増貸付けを行うとともに、身体障害者用の浴室整備、段差の解消等の住宅リフォームに対する割増貸付けを実施した。
 また、平成七年度においては、障害者と同居する世帯の住宅の建設・購入に対する割増貸付額の引上げ(一戸当たり三百万円から四百五十万円)を行うとともに、住宅リフォームにおいて、身体障害者等用の設備の設置工事を行う場合に対する割増貸付額の引上げ(一戸当たり百万円から二百万円)を行った。

カ 移動・交通対策

((まる))1 公共交通機関における各種ガイドライン等に基づく事業者への指導

 公共交通ターミナルや車両の整備・改良等について、各種ガイドライン等に基づいて事業者への指導を行った。

((まる))2 高齢者・障害者等の視点に立った連続性のある交通体系の計画的構築

 「高齢者・障害者等のためのモデル交通計画策定調査報告書」を平成八年三月に作成し、これを全国的な高齢者・障害者等のための連続性のある交通体系の具体的なモデルケースにしていくこととしている。

((まる))3 施設整備に対する支援体制の整備

 日本開発銀行等の融資対象工事には、鉄道駅等におけるエレベーター・エスカレーター等の高齢者・障害者等のための施設整備が含まれているが、平成七年度には鉄道駅における高齢者・障害者等のための施設整備を特に対象とした日本開発銀行による超低利融資を行った。
 また、(財)交通アメニティ推進機構では、民間からの出資を原資にして、鉄道駅、バス・空港・旅客船等におけるエレベーター・エスカレーター設置事業等への助成等を行ったほか、特に整備が急がれているJR及び民間鉄道の障害者対応型エレベーター・エスカレーター設置事業については、平成六年度から「交通施設利用円滑化対策費補助金」が創設され、(財)交通アメニティ推進機構を通じ、国からも補助を行った。

((まる))4 道路交通環境の改善

 車いすの利用者がすれちがえる幅の広い歩道等の整備、横断歩道部や交差点部の歩道の段差切下げ、電線類の地中化、視覚障害者誘導用ブロック等の整備を行ったほか、音で知らせる視覚障害者用信号機や青の時間が延長される弱者感応式信号機の設置、立体横断施設に建築物への出入口を設ける等のバリアフリー化、コミュニティー・ゾーン形成を図り、安心して歩ける生活環境を整備した。
 さらに、高速道路のサービスエリア等の休憩施設に障害者用トイレ等の整備を行った。

((まる))5 公共交通機関周辺環境の利便性の向上

 駅等の交通結節点である駅前広場、自由道路等の整備やエレベーター・エスカレーター等の歩行支援施設等の整備を行った。

((まる))6 障害者に対する運賃・料金割引等

 鉄道、バス、タクシー等の公共交通機関における障害者運賃割引等の措置を講ずるとともに、身体障害者の使用する車両に対し、駐車禁止除外指定車標章を交付した。

((まる))7 運転免許取得希望者への配慮

 運転免許試験場にスロープ、エレベーター等を整備したほか、身体障害者用試験車両の整備や身体障害者の運転適性について豊富な知識を有する試験官の配置を行った。

(2)障害者が安心して生活を送るための施策

ア 情報提供

((まる))1 都道府県の行う点訳奉仕員、朗読奉仕員、手話奉仕員及び要約筆記奉仕員に対する講習会や手話奉仕員等の派遣事業を支援したほか、新聞情報等を即時に全国の点字図書館で受信できる「点字情報ネットワーク事業」や、全国の点字図書目録の検索等ができる「点字図書情報検索システム」を実施した。
 さらに、平成七年度には、障害者の社会参加に役立つ各種情報を収集・提供するとともに、障害者の情報交換の場を提供する「障害者情報ネットワーク」を構築し、平成八年度から本格的に稼働することとしている。

((まる))2 放送事業者が行う字幕放送、解説番組等の番組制作等に対する助成金の交付等の財政支援を行っており、平成七年度には百八十八本の字幕番組に助勢した。
 平成七年十月からは、「視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会」を開催し、視聴覚障害者向け放送を充実するための方策について検討が行われた。この報告書において、番組制作に係る技術開発の推進等の必要性等が指摘されるとともに、視聴覚障害者向け専門放送チャンネルの実現に向けた環境整備について提言が行われた。

((まる))3 電気通信事業者においても、音量調節機能付き電話等、福祉用電話機器の開発や車いす用公衆電話ボックスの設置など、障害者が円滑に電話を利用できるよう種々の措置を講じた。また、電気通信事業として、福祉用電話機器の使用料等の減額や番号案内料の免除等の措置を講じたほか、クレジット通信機能について、聴覚や言語に障害がある者などを対象に、その月額使用料を免除する措置を講じた。

((まる))4 郵便局においては、点字による各種通知書の送付、点字表示をしたキャッシュカード等の発行、ATM等の操作に配慮した点字表示や、音声誘導装置付き各種機器の設置等を行った。また、郵便局の窓口で耳の不自由な利用者と手話による会話ができる職員を養成するための講習会を実施した。

イ 防犯対策

((まる))1 障害者が警察へアクセスする際の困難を除去するため、交番等の玄関前のスロープの設置やファックス110番の導入、ファックスネットワークの構築、手話のできる警察官の交番等への配置を行った。また、(財)全日本ろうあ連盟が作成した「手話バッジ」を、手話のできる警察官等に装着させ、聴覚障害者等の利便を図っている。

((まる))2 障害者が犯罪や事故の被害に遭うことの不安感を除くため、パトロール等を通じた困りごと相談や、障害者の身近な危険に関するニーズの把握、地域安全ニュースの発行等を行った。

((まる))3 警察部内では、手話講習会や障害者に対する応接、介護に関する講習会を開催するなど、職員の研修やボランティア活動への参加を支援した。

ウ 防災対策

((まる))1 阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地方公共団体に対し、地域防災計画の見直しに当たり、障害者を含む災害弱者に対しては、地域住民や自主防災組織等の協力を得ながら、情報伝達、非難誘導、非難生活等において十分配慮するように指導した。

((まる))2 各都道府県警察では、障害者が入所する施設等への巡回連絡、ミニ情報紙の配布や自主防災組織等の育成による障害者に対する支援体制の整備促進に努めた。

((まる))3 緊急情報システムによる災害弱者から消防機関への緊急通信体制の一層の充実を図るための調査研究を進めたほか、災害弱者が入所する施設の非難対策の強化等、防火管理の充実について消防機関を指導した。

((まる))4 社会福祉施設等の災害弱者に関連した施設を保全対象に含む危険箇所に係る砂防、地すべり、急傾斜地崩壊対策事業を重点的に推進した。また、激甚な災害を受けた地域における再度災害の防止を図るため、河川事業、砂防事業、地すべり対策事業及び急傾斜地崩壊対策事業を強力に推進した。

((まる))5 避難地、避難路等の都市防災施設の整備を都市公園事業、街路事業、土地区画整理事業等により推進するとともに、避難施設及び延焼遮断帯の周辺等、市街地の枢要な地域の耐震不燃化を市街地再開発事業、都市防災不燃化促進事業等により実施した。


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