MILK COLUMN

なぜ魚やレバーの臭みをとるの?

 魚やレバーなどの臭みが気になるときは、牛乳に浸してから料理すると臭みが消えます。牛乳には他のものから臭気を吸収する性質があります。これは牛乳の中のタンパク質や脂肪球によるもの。とても小さな粒なのですが表面積は大きく、そこに臭いの物質が吸着するためだといわれています。

 

牛乳で家具をお掃除。

 古くなった牛乳は家具や床のつや出しに利用できます。牛乳を布に含ませて拭くと、つやが出てきます。これは牛乳に含まれるタンパク質や脂肪分につやを出す作用があるからです。また古い牛乳にはアンモニア成分があり、これに汚れを落とす効果があります。観葉植物の葉のほこりをとるときも、ガーゼに牛乳を含ませて表面を拭くとほこりがよく落ちます。

 

初乳の秘密。

 母牛が出産後、約1週間ほど出すミルクを初乳といい、赤ちゃん牛に与えられます。栄養価の高い消化しやすいタンパク質やビタミンなどがたっぷり含まれており、病気に対する抵抗力をつける免疫があるため、赤ちゃん牛にはとても大事なものです。乳糖が少なく独特の苦みがあり、熱で固まるタンパク質が多いこともあって、人が飲むには適していません。初乳の量は5日間で約100キログラム。赤ちゃん牛が飲む量は20〜25キログラム。余った初乳は発酵させて赤ちゃん牛に与えたり、固まる性質のタンパク質が多いことを利用して、初乳チーズを作る酪農家も。これは法律で出荷が禁じられているので、一般の人には手に入りません。

 

牛乳の膜は食べられる。

 牛乳を温めると表面に白い膜が張りますが、これはラムスデン現象といわれるもの。牛乳を加熱すると空気に触れている表面から水分が蒸発、部分的に濃縮が起こり、タンパク質が脂肪や乳糖をも包み込んで凝集し、表面に膜を作るのです。「ゆば」も同じ原理で、大豆のタンパク質が固まったもの。濃厚な味がする牛乳の白い膜は、ほとんど脂肪とタンパク質からできているので栄養がたっぷりです。再び温めながらかき混ぜると溶けてしまいますが、牛乳のタンパク質は血圧を下げたり、カルシウムの吸収を促すので、そのまま食べてください。

ノンホモジナイズ牛乳。

 搾りたての牛乳をそのまま置いておくと、脂肪球が浮き上がってクリーム分離を起こします。牛乳はこのような分離を防ぐため、機械で脂肪球を細かく砕く均質化(ホモジナイズ)処理を行っています。約1〜10ミクロンの脂肪球は1ミクロン以下になり、浮力をほとんど失うため分離を起こさないのです。また脂肪球が細かくなることで、消化吸収がよくなるともいわれています。

 このような牛乳はホモジナイズ牛乳といわれますが、これに対してノンホモジナイズ牛乳は、脂肪球を砕く均質化処理を行っていません。脂肪分が浮いてクリーム層ができ、濃厚な味を好む人に人気があります。

 

開封したら、早めにお飲みください。

牛乳はデリケートな食品ですから買った後はすぐに10℃以下の冷蔵庫に保存しましょう。その状態で開封しなければ製造日から1週間は同じ品質を保てますが、開封したらできるだけ2日以内に飲んでしまうほうがおいしく召し上がれます。

 

殺菌方法もいろいろ。

 私たちの手元に届くまでにさまざまな細菌が繁殖しないように、加熱処理を行います。牛乳の殺菌法は、パスツールがブドウ酒の異常発酵を防ぐために発明した加熱処理法を使って、19世紀の終わり頃から欧米で始められました。殺菌によって有害な細菌は死滅し、さらに牛乳を腐敗させるような細菌や酵素から守ります。一方、滅菌という方法もありますが、これは無害な細菌まで殺し、完全な無菌状態にすることです。

 研究が進み、生乳を62〜65℃で30分加熱すると有害細菌はすべて死滅すること、また加熱温度を高くすれば死滅させるのに必要な時間を著しく縮めることもわかりました。技術の進歩により短時間で処理されることで、牛乳を大量生産できるようになったのです。

 現在日本で行われている殺菌法や滅菌法は次のようなものです。

・低温長時間殺菌法

62〜65℃で30分加熱。

・高温短時間殺菌法

   72〜85℃で10〜15秒加熱。

・超高温瞬間殺菌法

   120〜150℃で2〜5秒加熱。

 日本の牛乳の多くは超高温瞬間殺菌牛乳です。最近人気の高い低温殺菌牛乳は、生乳本来の味を残した殺菌法ですが、日持ちはあまりよくありません。ロングライフ(LL)牛乳は超高温瞬間殺菌法で滅菌した牛乳を、空気や光や微生物が入らないような特殊な容器に入れたもので、開封しなければ常温でも長時間保存できます。

 

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