#49「雪の降る街」 2005/2/2
僕の経験した雪は、数えるほどしかない。
十代の頃、公園に降り積もった雪に、はしゃいで足跡をつけた福岡の街。
マイナス20℃という、記録的な真冬のニューヨーク。
泥にまみれた雪だるまを見つけたえびの高原。
目覚めると真っ白に変わっていた温泉・・・・・そんなところだ。
昨日、仕事先のビルの窓には、横に流れる雪を見た。
周りの驚いた声と、寒いと呟く人に混じって、
僕は勝手に、タイムスリップを試みた。
もし、小学生の僕がこの景色を見たとしたら・・・・
きっと友達の肩を叩き、窓に顔をつけて、すぐにその窓を開き
誰かに怒られ、友達と一緒に外へ飛び出す。
雪についての遊び方なんて、雪だるまと雪合戦しか知らないし
とにかくみんなで、それをやってみるだろう。
でも雪なんて積もっていないし、それどころか手の平にさせ残ってはくれない。
ちょっと愚痴なんてこぼしながら、吹雪く中を駆け回る。
誰かに伝えたくても、僕の世界の友達は、みんないっせいにそれを知っている。
明日の教室で、みんなと話すために寒い中何かをし続けなきゃいけない。
僕はこんな出来事に出会うのは、一生に一回きりだなんて思って、
必死で記憶に残そうとするだろう。
なんて綺麗なんだとか、今まで感じたことのない肌の痛さを
一生懸命思い出に変換していく。
赤くなった手に、ハァーハァー言いながら、少しだけ景色に慣れてきた自分に
いい気になったりしている。
南に暮らす僕らには、思い出に雪がない。
スノボーを抱えてバスに乗り込む友達との会話も経験しない。
カチャン・・・・・現実に戻ってきた。
TVの雪かきや麻痺した道路に、同情したりする自分に変わっていた。
いつからだろう。雪かきやスリップする車を、うらやましくなくなってしまったのは。
南に生まれた僕は、白い世界に憧れを抱いていたはずなのに。
雪の降る街に住む君は、どんな憧れを抱いていましたか?
南の僕に共感してくれますか?
僕らの街では、野球選手が練習しています。
来月には、僕も海に海に行こうなんて思ったりして。
南から、世界中でいろんな自然と闘っている人たちにエールを送りたい。