貧しいものは幸いである

キリストは言います。

貧しい人びとは、幸いである、
神の国はあなたがたのものである。

( ルカによる福音書第 6 章 )

貧しいことはそう幸せなことではありません。しかし、この言葉のおかげでしょうか、僕は貧しかったときに貧しさを恥と思わずに済みました。つぎのあたったズボンをはいていても、ほんとうに大切なのはズボンではなくズボンの中味なのだと思うことができたからです。また、お金持ちより自分の方が天国に近いのだというプライドのようなものもちょっぴり感じることができました。

それでも、やはり、「貧しいことが幸いだ」という言葉にはどこか納得できないところがあります。しかし、この言葉を次のように変えてみたらどうでしょう。

富める人びとは、幸いである
神の国はあなたがたのものである。

この言葉を読んでどう思いますか。豊かになった日本人ははたして本当に神の国に住んでいるのでしょうか。心はかえって貧しくなってしまっているのではないでしょうか。暮らしが便利で快適になったために、家族のために何かを我慢して耐えるという心の強靭さとやさしさを失ってしまっているのではないでしょうか。